吉田敦彦

YOSHIDA Atsuhiko


経歴
・1936年徳島で生まれ、仙台で育つ。
・東北大学文学部哲学科(美学西洋美術史専攻)卒。
 教授 村田 潔  助教授 西田 秀穂
・仙台美術研究所にて二宮不二麿にデッサンの指導を受け、加藤正衛に抽象絵画についての強い示唆を受ける。
・都内公立中学校及び高等学校の美術科教諭を歴任。 1994年退職。
・現在、行動美術協会会員、汎美術協会会員。97年度向井潤吉賞。
・都内での個展はほぼ隔年毎で19回。
 主に紀伊国屋画廊及びギャラリーセンターポイント。
 他にふたば画廊、ゆう画廊、あかね画廊など。
・東京都東村山市在住。市内にてデッサンの教室を開設。
 Mail adress=atuhiko-y@mtf.biglobe.ne.jp
・著書
 市民のための美術入門1 デッサンのすすめ 蝸牛社 定価2000円
 市民のための美術入門1 抽象絵画のすすめ 蝸牛新社 定価2100円
 市民のための美術入門1 あぶらえのすすめ 近刊予定

 いずれも単なる技法解説に止まらず、その意味や価値から絵画するものの常識や基本的な心掛けについてなども含めて、ごく平易な文章で書いたものです。書店にて入手困難の場合は著書に直接お申込み下さい。

・関連URL
行動美術協会 http://www.kodo-bijutsu.jp/
汎美術協会
      http://www.ktv.ne.jp/~hanbiten
著書に関するもの
      http://www.rakuten.co.jp/kagyushinsha/426700/
      http://www2u.biglobe.ne.jp/~ikamono/cm.htm




Atsuhiko YOSHIDA

Né à Tokushima en 1936
Réside à Higashimurayama, Tokyo.

Diplôme et Expériences professionnelles

Licence d’Esthétisme et d’Histoire de l’Art à la section philosophie du département littérature de l’Université de Tohoku avec le Professeur Kiyoshi Murata
Etude de la peinture à l’Académie des Beaux-Arts de Sendai : Initiation à la peinture abstraite par le professeur Fujimaro Ninomiya Professeur des Beaux-Arts dans plusieurs collèges et lycées à Tokyo jusqu’à 1994
Membre des Sociétés des Artistes : Kodo-Bijutu, Han-Bijutsu
Prix de Jyunkichi Mukai en 1997
Aujourd’hui, Professeur de dessin-peinture dans la ville de Higashimurayama
E-Mail : atuhiko-y@mtf.biglobe.ne.jp

Expositions personnelles

Expositions réguliéres : Galerie Kinokuniya, Galerie Center Point de Tokyo.
Autres expositions : Galerie Futaba, Galerie You, Galerie Akane de Tokyo etc.

Publications

Livre pour les amateurs d’art I : Conseil pour le dessin
Livre pour les amateurs d’art I : Conseil pour la peinture abstraite
Livre pour les amateurs d’art I : Conseil pour la peinture à l’huile

Sites Internet

Sites Internet sur les peintures :
Société de Kodo-Bijutsu  http://www.kodo-bijutsu.jp/
Société de Han-Bijutsu http://218.44.211.154/~hokura/newpage1.htm

Sites Internet sur les publications :
http://www.rakuten.co.jp/kagyushinsha/426700/
http://www2u.biglobe.ne.jp/~ikamono/cm.htm




作品に関するコメント

そのときそのときただひたすら、塗りたい色を描きたい形に塗って 行くだけ 。

何らかのイメージを描くのではなくて、漠然としたかすかなひらめき から出発して、「空間としての充実を求めてくるキャンバス」との 対話のうちに、徐々にイメージを育てて行く。

作品の完成がイメージの完成、同時に空間としての完成。

具体的な形はイメージの自由な展開を損なうから避けるが、日常 繰り返すデッサンやスケッチを通 じ、自然界や人間界の形態や 事象から得た感動を生かしてリアリティーの確立をねがう。

ここに展示の作品は2002年6月の個展出品作品の主なもので、 私の過去一年間の日記に相当するとも考える。題名の数字は 年月を表しており、そのころ衝撃を受けた事件や私の状況がいろ いろな形で画面 に影響を与えているようだ。

2001年の前半は知己身内の死や重病に接すること多く、体調も 思わしくなく、自らの先行きも含めて「死」についての思いに取り つかれることが多かった。人生は無から生じて無に帰ると言うこ とだが、その絶対不可思議の「無」の領域を私は薄めた群青で 表そうと思っていたようだ。ここでは「去」と「虚」にそれが主役とし て現れている。

「衝」の制作中には愛媛丸の米原潜による撃沈?事件があり、画 面は一転して赤にまみれ、黒の歪んだ枠型や直線が現れた。

9月11日のマンハッタンの事件にはリアルタイムで報道画面に 接した。快晴の空を背景に黒煙を上げるWTCビルの姿は刹那の超 現実の美と見えたが、その後、一気に崩壊するビルの映像にはそこ にいたはずの人間の悲鳴をまざまざと聞く思いがした。当時制作中 の作品には黒い折れ線が走ったが、全体の印象は最初に見た快晴 の映像のせいか軽く明るいままだった(崩)。

その後「目には目を」の古典的な復讐の念に取りつかれたかにみえ る超大国は、「戦争だ戦争だ」と振り上げたこぶしを、テロ支援国家 という名目でアフガンという極貧国家の上にとりあえず振り下ろした が、ついでにたまっていた兵器の大量 消費もし、一撃によって揺ら いだアメリカ経済を救う努力も忘れなかったようだ。

いずれにしても、中東の、出口の見えない相互憎悪の悪循環の状況 とあいまって、テロの根をさらに深いものにしかねない一連の憂鬱な 流れの中で、10月の小品群(喪失1〜3)や11月の作品(潜む)ができ、 2月の(襲)にいたる。見ようによっては4月の「惑」にもなおWTCのあの瞬間の姿が亡霊のように現れているようだが。

最近の作品(惑、意、断など)はなぜか赤い。それも割と明るく健康的 で生理的肉体的と言えるような赤が現れて来ている。これが何を意味 するのかはまだ私にも分からない。

制作中、しばしばSodomという文字が思い浮かび、不況とは言え、 我々の子供時代や世界中の多くの人々から見れば夢のような、豊か な大量消費生活の中にどっぷり浸かって暮らしていて、環境問題も 含めてその負債を全て子孫に負わせていることへの、後ろめたさの 表れなのかともおもったりもした。

あるいはむしろ、さまざまな「死」につきあわされた一年間の後に、 反動的に現れた生の賛歌とでも考えるべきか。死について考えれば、 それだけ生について考えていたことになるはず。確かなことは今生きて いることしかなくて、であれば、精一杯生きるより仕方がないじゃないか と開き直ったとか。

ただし、いずれの作品においても制作に当たって、テーマが先に 決まっていたことは無く、できあがった作品をみて後でそうだったのかもなと思うだけのこと。以上に書いたような社会状況などの影 響は影響の範囲のことであって、作品の中身は、その場その場の色 彩なり形態の決定の判断の中に引き出される、知識や記憶や経験や 思考や感覚や気分などなどに季節感などの環境的要因も含めた、私 の一部あるいは全部のはず。つまり一つのカオス。そして制作中の私の関心事は一重に「新たで新鮮な空間の創造とリアリティーの確立」。そのためには自分自身をもろもろの感動によりさらに深め、 絶えず更新して行かなければと思うのだが…。



2002年 個展 ギャラリーセンターポイント



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F100
左 01-2・衝
右 01-1・去
キャンバスにアクリル絵具
2001




左 F200
右 F130
左 02-5・意
右 02-3・惑
キャンバスにアクリル絵具
2002






左 F100
右 F130
左 02-2・襲
右 01-11・潜ム
キャンバスにアクリル絵具
2002
2001




F200
01-6・虚
キャンバスにアクリル絵具
2001






左 F50
中央 F50
右 F40
左 01-10C・喪失-3
中央 01-10A・喪失-1
右 01-10A・喪失-2
キャンバスにアクリル絵具
2001

 


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